学校裏サイト ★★★★

ここ数年ニュースで目にすることが多くなった学校裏サイトという言葉。本書ではその学校裏サイトだけでなく、出会い系サイトやSNSなど携帯サイトにより犯罪に巻き込まれる中高生の実態について、筆者の調査結果やPTA、サイト運営者との交流を元に紹介している。

親であれば子供に携帯電話を持たせる前に必読してもらいたい。

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セックスと暴力はダメだと言われると、まったくアイデアが浮かばない一九歳がいかに多いか驚かされる。 (P142)

多くの中高生の関心事はこの2つに限るだろう。そこを否定してもしょうがない。問題はこれらの情報が親をバイパスし、預かり知らぬところで子供の手に渡ってしまう点にある。

  1. 携帯を安易に買い与えない
  2. 利用明細を確認する
  3. 子供のネット利用に関心を持つ
  4. 子供の交友関係を知る
  5. 友人の親と会話する

親には子供を守る義務があると考えるなら、これくらいの義務は全うしたいところだ。まぁ本書では携帯サイトが舞台となった凶悪事件をならべて必要以上に恐怖感をあおっているようにも感じるが、起きているのは事実なんだろう。

ところで本書を読んでいると筆者が「子供のインターネット利用=悪」という図式を前提に話をしているように思える。子供のインターネットでの「プロデューサー活動」や「執筆活動」を、「ごっこ」の一言で片付けてしまう考えには少々抵抗を覚える。成熟した活動だけに価値があるわけではないだろうに。

またモバゲータウンを辛辣に一方的に親の仇であるかのごとく批判している。DeNA南場社長と個人的な確執でもあるのかと邪推してしまう。

小中学生の携帯電話所有禁止議論のなか誘拐事件で携帯電話(の保持)が有力な手がかりになるケースもあれば、総務省が始めようとしている携帯フィルタリングが情報統制につながるとの議論もある。著者も「少年のインターネット利用に関する調査研究会 座長」という肩書きである以上無関係ではないだろう。

若者の携帯保持の是非について、今後注目していきたいテーマだ。

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