夢を与える
- 作者: 綿矢りさ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/02/08
- メディア: 単行本
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さてストーリーの7割まではとても安心して読めた。清楚で活発で控えめな夕子のキャラクターはとても好印象で、感情の変化・成長による変化も素直に共感できた。しかし・・・途中で起こるとあるホテルでのワンシーン、これがその後の展開に大きな変化を与えることは容易に想像できる。そして左手に残るページ数が心許ない・・・。残りページで話が好転するわけもなく結局ささやかなハッピーエンドの願いは叶うことなく、後味の悪いバッドエンディングが待っていました。
「夢を与える」とは何かを物語中で自ら定義しながらも最後読者に夢を与えることなく終わらせてしまったあたりに、綿矢りさ自身が芥川賞受賞時に経験したであろう出来事にどうしてもリンクさせてしまい切ないです。