おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書) ★★★★★

技術者を目指す自分に足りない何かを改めて気付かせてくれる本だった。なぜSonyiPhoneが作れなかったのか。技術的優位を競うのでなくユーザにどんな体験を届けられるか。それをひたすら考えプロダクトとして提供しているのが今のAppleなのだ。経営もわかる技術者であれ。

ユーザ・エクスペリエンスとは「おもてなし」でありユーザに満足してもらうための「こだわり」である。しかし「こだわり」はえてしてエンジニアの美学におさまってしまいがちだが、あくまでも「ユーザにとっての価値」を増やすものでなくてはならない。

Windows95Internet Explorerの開発に携わったプログラマの言葉だからこそより重く心に響く。


(本の半分以上を占める)第3章には西村博之、古川亨、梅田望夫とのインタビューがおさめられている。とくに元マイクロソフト日本法人会長の古川氏との対談は楽しめた。闘うプログラマもあわせて読んでおけばWindows95が当初冷遇されていた背景なんかもわかったより楽しめるだろう。

パソコン黎明期当時のアスキーに集まっていた「世の中を作っている」感覚はいまのWeb界隈に感じるものと同じだろうか。であればエンジニアを動かすのはお金でも環境でもなく、ただ純粋な技術的好奇心だと考えるのは考えを飛躍しすぎだろうか。

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)