「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書) ★★★★

自分のだした理屈に屁理屈を重ねるだけのトンデモ本かと思いきや大間違い。反会計について考える良書だった。

この本の第1章で語られている「数字を疑う」についてはこの本だけでなく様々な本で取り上げられているので、その辺りは特に目新しさはない。

  • 作られた数字 (アンケート、ランキング)
  • 関係のない数字 (過去の建設費800億円)
  • 根拠のない数字 (経済効果)
  • 机上の数字 (求人広告)

読むべきは第2章以降。終章だけでも計画的、合理的な会計思考「だけ」ではビジネスはくくることができない。ビジネスはもっと複雑で非科学的な行動であり、複数の視点でものごとをみなければならない。

なるほど、人の意見は異なることが往々にしてあるけれどいざ話をつめるとさして違うことは言っていないものだ。これも視点の違いからくるもの。相手がどの視点でその対象をとらえているか知ることができれば意見の違いというものはそうないと考える。

会計がわかればビジネスが分かるのは定石の視点から。そこに信頼、人望、人脈、アイデア、運など非定の要素があってビジネスだという視点にたったのが本書だろう。


費用対効果が口癖の人に対して「効果」の意味するものを逆に質問するというのはおもしろそうだ。

余談

読み終わって、さぞベテランの会計士の方が書いているんだろうと著者プロフィールを読むと、なんと1976年生まれ。同い年だったとは・・・